当社は、自社で100%子会社となるフィリピン開発会社を持っています。
あまりフィリピン拠点の話をすることがないで、本日はフィリピンで稼働しているシステム開発について、どうやって会社を成長させるのかお話ししたいと思います。
オフショア開発の始まり
私が初めてフィリピンでオフショア開発をしたのは2012年です。
PHPなどのプログラムの開発をフィリピン現地の日系企業に発注したのが最初です。実はその前にも中国大連でオフショア開発を3年ぐらい行なっていた経験もあるので、オフショア開発は私にとってはもうすっかり馴染みのある開発手段となっていました。
当社は元々オフショア開発を使っていた立場でした。使っていた立場なので、外国人にどんな開発が得意で、とんな開発が不得意なのかもその過程の中でよくしっています。
結果として、今は自社のリスクで会社設立から従業員をフルタイムで雇い、給与やらベネフィットと呼ばれる福利厚生まで払って運用しているのですが、やはり自社で雇用して、私が理想とするエンジニアを育てたほうが他社のオフショア開発を利用するよりも何倍もよいのは今でははっきりしています。
そもそもなんでオフショア開発?
ウェブサイト上で何らかのシステムなりサービスを提供している場合、特にECサイトなんかでは必ず機能の追加・既存機能の拡張などいろいろな業務要件が入ってきます。
経営ボードや内勤オペレーターから要求される業務要件に対して、スピーディーにシステムに機能を追加していくには、社内にエンジニアを雇用して常駐して開発してもらうのか良いのですが、そこにはウェブサービスを改修するだけの内部コストが凄まじい金額で上昇してしまいます。
そこで2000年ごろから日本企業は中国の大連、北京、上海を中心に海外でシステム開発を依頼する企業が増えたというのが大きな流れになっています。
その後、中国沿岸部の開発コストが上昇する流れを受けて、フィリピン、ベトナム、ミャンマーと開発地域をより低コストな国へ移動していったのが今日までの流れです。
現在、「オフショア開発」と検索するとフィリピン、ベトナム、ミャンマーのいずれかの地域でオフショア開発を提供している日系企業の会社がヒットします。
当社もフィリピンを拠点にしたオフショア開発を提供しています。
オフショア開発に失敗すれば、コスト圧縮どころか痛手のでる想定外の出費も
オフショア開発は、究極的にはコスト圧縮です。
要件通りにシステムが完成し、特に大きなバグもなく稼働に漕ぎ着ければ、オフショア開発としては成功です。
オフショア開発で用いられる開発手法はアジャイル型開発が一般的で、システム開発をガンガン回し、同業他社に比べて早いリリースサイクルでサービスを市場に提供できますから、ウェブサービスを提供する企業としては、競争優位の点でアドバンテージを持ちますよね。
※システム開発におけるアジャイル開発とウォーターウォール開発の違いについて
ただ、システム開発の現場でのコスト圧縮やリリースまでの超短納期案件はセブンペイのシステム開発失敗のニュースで目立ちましたが、短納期で無理な業務要件を詰めすぎた結果、クレジットカード情報で外部から攻撃を受けて情報漏洩など、プロの開発者から見ればありえない副作用もでてしまうのです。
その火消しにかかるコストが、コスト圧縮を目的に採用したオフショア開発だったのに、逆効果となてしまいかねません、、。
これはオフショア開発に特定されることはありませんが、安い・短納期というのは、品質管理に関するコストを圧縮するわけですから、メリットと引き換えにデメリットもあるわけです。
この辺りの洞察なしに、オフショア開発を「素早い対応が売り」、「低コスト」などを謳ったコストばかりを重視する結果、オフショア開発先を一歩間違えれば、システム開発の失敗に終わり、かけたコストに対するパフォーマンスを回収できないものになってしまいます。
オフショア開発で失敗しないための考え方
そこで、システム開発でオフショア開発を採用した際に、失敗しないための鉄則のようなものを私の経験から描いてみようと思います。
現地責任者がコードが書ける現役エンジニアであるかどうか
私は、そもそもオフショア開発を長年発注していた立場です。同時に現在はオフショア開発を提供している立場の両方を経験しているので、企業の担当者からみた場合の視線で厳しく評価することができます。
まず、大前提ですが、オフショア開発で成功するか否かの最大の基準は、現地(もしくは日本の)にいる日本人の責任者が、単なるオペレーターや翻訳的な窓口の人ではなく、現役のエンジニアであるかどうかはとても大事だと思います。
私が過去にオフショア開発として発注していた中国大連とフィリピンセブの会社はいずれも担当者はエンジニアの人であり、コードが書けるエンジニアでした。
現場を務める担当者が日本人で、英語がビジネスレベルでコードも書けるエンジニアであれば、ほぼ即答できるのでオフショア開発としては業務は推進できますが、英語ができるだけとか、コードが書けるだけ、、といったどちらかのスキルしかない場合は、コミュニケーションエラーでどこかで炎上する可能性があります。
担当者がエンジニアであれば、初めての商談で、しかもその場で工数や実現するための難易度、さらにはどうやってビジネスをより成長させるかまで話することができますよね。
私はポイントはここに全てあると思っています。
オフショア開発として開発先に発注する前段階で、担当者がどこまでその業務システムを理解してくれるかが鍵です。
大学でコンピュータサイエンスの学識もない文系の人が担当したところで、具体的な話もできないし、ビジネスモデルの話をしたところで、具体的なコードの実装までは話せないので、そういう人が担当すると、開発は淡々と進んでいるものの、言ったこと以上のパフォーマンスが出ずに、あまり成長を実感することができません。
要はシステム開発はしてくれているのだけど、ビジネスを成長させるための提案がシステム開発の現場から話が上がってこないというか、、そういう感じです。
システム開発のコードは経営戦略そのものであることを理解しているかどうか
最近、セブン・イレブンが導入した 7pay というペイメント・システムの脆弱性をついた犯罪が起こるという事件がありました。誕生日と電話番号さえ分かれば、パスワードをリセット出来てしまうという、ごく初期的な設計上のミスがあったため生じた事件ですが、「なぜこんなことが起こったのか」の根本原因をさぐり出し、そこから直す必要があると感じています。
日本のコードを書かない上流のエンジニアが設計し、コーディングはオフショア開発先の下請けに任せる上下関係の意識が出来上がってしまうと、コーディングしている最中にいろいろな問題が見つかった時に、上の人に言える立場でないので、仕様書に文句をつけることができなくなってしまいます。
私もそうですが、コーディングしている最中はいろいろなアイディアやもっと良いやり方がどんどん浮かびます。なので、最初に仕様書を書いたとしても、すぐに古いものとなってしまいます。
最初に仕様書を書いた人間がすべてを牛耳っているような経営戦略はとても古い体質であり、そんな会社がいまだに大手には存在しています。
コードは経営戦略のつまっているものであることをもっと経営者は理解すべきです。
私はアイディアはコーディングしているにどんどん変化するものなので。
ユーザーインターフェースの設計ができるか
オフショア開発の中でも多いのが、ウェブ系システム開発だと思います。
ウェブ系は一般ユーザーが利用するフロントエンドと、アルゴリズムが走るバックエンドの2つに分かれます。
画面のインターフェースには、ユーザーの目的達成のために必要とされるインターフェースが必要ですが、過去にオフショア先に委託した時にはこのインターフェースを設計できないエンジニアがほとんどだったというのが私の印象です。
こちらがモックと入力必要項目を作りプロトタイプとして渡しても、確かにその通りに設計はしてくれるものの、フォームUIなどの細部にこだわるエンジニアはほぼ皆無でした。
言ったことはやるが、そのままの状態ではとてもプロダクトとしてリリースさせることができないレベルです。
そこで学んだことは、オフショア開発は、アルゴリズムだけ完成させて、ユーザーインターフェースはある程度日本でもう一度完成度を高める作業を行った方が効率的であるということでした。
やはり、文化の違いや言葉の違いがあるため、仕様書があるものについてはその通りに作ってくれますが、ユーザーインターフェースのような使い勝手の部分については、気が利くエンジニアとそうでないエンジニアがいることは事実なので、ここは日本で詰めた方がよいでしょう。
オフショア開発について説明しましたが、私としては自社のプロダクトをオフショア開発で今でも開発していますし、一方で企業としてもオフショア開発を提供する立場でもあるので、今後も活用していただける企業が増えてほしいと思います。
デジタルスタジオのオフショア開発サービス
デジタルスタジオのオフショア開発サービス
当社はフィリピンのマカティーというフィリピン最大の商業都市にオフィスを構えています。日本の新宿や東京駅周辺のような商業都市です。
YoutubeでMakatiのイメージがありましたので、これをみていただくとイメージがよくわかると思います
現地のウェブサイトもあるので、ぜひみていただければと思います。
Limder というeBay Lazada Amazon の在庫連携システムを開発したり、ECサイトを開発したりしています。
フィリピンでオフショア開発を検討している方は、ぜひご連絡ください!
いろいろと、ビジネスがどう成長できるか、私なりに戦略支援させていただければと思います!!
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