デジタルスタジオでは2022年7月に自社で行っている越境EC事業専用の物流センターをさいたま市北区(会社のすぐそば)の倉庫から始めました。
最初の1年は貨物の流れに合わせて、つぎはぎでシステムを作っては見たのですが、物流業界素人の会社にとっては、とても大変でした。
そして、今月物流事業の立上げから現在に至るまでの業務を担当していた担当者がなんとが退職....。
いよいよ(経験者の力を借りずに)自社のリソースですべてを行わなければならない状況に追い込まれ、この1ヶ月間は正直物流がすべて正常に回すことができるのか内心焦っておりました... 。(汗)
物流担当者が退職から1ヶ月の間、物流センターに毎日のように通い、貨物の入庫から出庫までのすべての物の流れを把握し、どの部分でどんなシステムが必要なのかをもう一度洗い出し、パートさんと一緒に業務を行うことで「無駄」と「時間がかかっている部分」をオンライン化し、ようやく満足のいくような形に仕上がってきましたので、ここでどんなシステムを開発したのか、ブログで残しておこうと思います。
この記事は物流センターで働いている方も、マニュアル的な意味も含めての意味もあります。何かわからなくなったら、この記事を読み返せば、なぜこのような導線になっているのかを改めて理解できます。
1、貨物が到着します
まずは、自社(またはクライアント)で発注した商品が倉庫に届きます。倉庫に届いたら、貨物番号のバーコードをスキャンします。佐川、ヤマト、日本郵便は12桁の追跡番号なので、これは便利ですね。
佐川、ヤマト、日本郵便の追跡番号は Live Commerce の注文履歴に自動的に登録されるようにプログラムされています。もし引き当てができなかかったら、開梱して商品のJANコードでスキャンをしてみましょう。
ちなみに、バーコードスキャンは、スマホでもできる時代になっていたので、スマホでもできるようにモバイル化まで行いました。パソコンを使わなくてもスマホだけで検品から出庫までを完了できるようにしてあります。
バーコードスキャンを行うと、下記の通りバーコードがフォームに読み込まれます。
続いて貨物の重量を計ります。1.5Kgなら 1.5 と入力します。
Packに入らないような貨物サイズが大きい場合は、BOXを選択し
1.5-30-15-15 と入力します。これは
重量-横-縦-奥行 という意味です。
すべて入力が完了したら、 Go ボタンをクリックします。
2. 注文内容と重量間違いを検品
次の画面に、注文内容の詳細、FedEx、DHL、日本郵便EMSの送料が一覧で表示され、システムが一番安い送料を自動的に選択してくれます。
DHLとEMSの場合のみ、注文管理画面からラベルを直接出力します。
この画面の目的は、
顧客支払い送料と、実送料の差額を人間が目視で確認し、送料赤字を防ぐために開発した画面です。
もちろん、入庫した貨物と注文内容が確認できるという利点もありますが、商品登録時に登録した重量と実際に送るときに計測した重量(または
容積重量)の差異をその場で修正することを目的にしています。
例えば、計測重量が0.7Kg で梱包までしたら1.1Kgの場合は、差異が0.4Kgあることになります。海外送料の料金表は、基本的に0.5Kg単位で価格が定義されていますので、重量をちょっとでも間違えると、送料赤字になってしまうことがあります。この画面を介在することにより、顧客支払い送料と実送料(燃油サーチャージも含めて)をリアルタイムで計測できます。
重量が間違っていれば、その場で修正を行えるようになっています。
New weight には正しい重量を入力します。
Fixed shipping fee には国にかかわらずこの商品の送料を一律固定金額にする場合に入力します。(通常は空でOKです) 入力例としては、 10000/+ と入力すると、この商品をカートに入れた場合、重量ベースの計算ではなく、固定金額として10,000円が表示されます。
固定金額にするか否かについては、上長に確認しましょう。
なぜ、重量間違いの検品が必要なのか?
常に「なぜ、この作業必要なのか?」こうした疑問を持つことから、世の中のすべての仕事の仕組は設計されています。ですので、皆さんこの画面の意味を理解しておく必要があります。
海外物流の事故における損失額は売上の約1.5%前後を当社ではKPIとして定めています。
例えば月商1000万のショップだと、 その1.5%にあたる15万円程度が物流事故による損失になるかもしれないという意味です。
物流事故による損失とは、以下のようなことです。
- 受け取り拒否による返品送料
- 想定外の関税負担金
- 想定外の通関手数料
- 紛失や輸送中の破損にいよって注文キャンセルとなってしまった場合の送料自腹負担
国内における輸送ではまず考えられないことばかりですが、海外ではこのような物流事故が普通にあります。その発生率がだいたい受注金額全体の1.5%前後というわけです。
こちらの映像をご覧ください。アメリカ最大手のアメリカンエアーの物流貨物の移動時の映像ですが、これを見てどのように思われますか?
日本では考えられませんが、海外では貨物の取り扱いが、ある一部の人たちの行為によってこのように扱われてしまうことがあります。
FedEx、DHL、日本郵便EMSも、このようなことはないと信じておりますが、担当者次第では、本当にわかりません。
このような不幸にも、当社が出荷した貨物がこのように対応され、壊れてしまったり盗まれてしまった時に自腹送料として負担しなければなりません。
企業は、利益がないと持続可能な事業を運営できません。つまり、私たちは送料から利益を得る必要があります。利益とは少なくともこの1.5%にあたる部分をきちんと利益として留保しておくという意味です。利益があるから、このような事態が発生したときに即座に支払いすることができ、業務を遅延なく行うことができるわけです。
そのためには、貨物に対する重量が正確に登録されている必要があり、且つ貨物の送料が実際にいくらなのかを担当者自身が自ら理解しておく必要があるというわけです。
他人まかせの仕事ではなく、自分事として正しく理解し経験することが重量です。
検品が完了すると、記録される
検品が完了すると、注文履歴に記録されます。この記録内容はLive Commerceの管理画面から検索も可能になります。これでどの事業所にいつ入庫して、サイズなどのすべて情報が残ります。お客様ともこの情報を共有しているため、こうした情報があるだけでも、問い合わせの件数を減らすことができます。
3、ラベルを出力する
全ての貨物のスキャンが完了したら、画面上にFedEx inFile Download というボタンが表示されますので、このボタンをクリックします。
日付.in というファイルのダウンロードが開始されますので、保存しておきます。
Fedex Ship Manager を起動して、ダウンロードした in ファイルをいつもの手順でインポートします。
一覧に表示された配送先の中から、ラベルを出力するものだけにチェックを入れて、プロセスというボタンをクリックします。
以下のようなエラーが出ることがあります。
- 貨物の配送先が不明瞭
- 識別不能な文字列が混在
- 入力漏れがある
この場合は、修正できる場合はその場で修正をし、修正をしてもエラーが出る場合はスキップしてしまいましょう。
以下の国はLive Commerce の管理画面から行っても必ずエラーがでますので、Fedex 公式サイトからラベルを作成します。
エラーがなければ、ラベルが1つ1つ出力されます。
フライヤー冊子とLive Commerceの管理画面から出力した
納品書を同梱し、丁寧に梱包します。
ラベルを貨物に貼って完了です。
4、追跡番号を顧客へ通知する
最後のステップです。
全てのラベルが出力されたら、結果の保存というボタンをクリックして、出力したすべてのラベルの結果ログを保存しておきます。保存先はデスクトップのフォルダです。
ダウンロードした結果ファイルを、OUTというタブをクリックして、ファイルを選択し、Uploadボタンをクリックしてインポートします。
インポートが完了すると、
日付.csv というファイルがのダウンロードが開始されます。ダウンロードしたファイルを
注文データ一括更新ツールにてアップロードして完了です。
ダウンロード時に、チーム全体の共通
Slackにも通知がされます。この通知は、今日の出荷件数が何件あったのかを知らせる意味での通知です。
顧客への通知が完了すると、あとは各キャリアの追跡番号で貨物を追跡することができます。当社が行うのはこの貨物の追跡番号を顧客に通知するところまでです。
お疲れさまでした。
補足
チームの共通スラックには毎日20時に明日の到着貨物件数が事前通知されるようになっています。
朝出社したら、この件数を見ておけば、業務終了時間などの見積もりができると思います。
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